~障害の理解とリハビリテーション~
ここでは介護福祉士試験に必要な「脳卒中のリハビリテーション」「その他の障害の理解とリハビリテーション」についての出題ポイントをまとめています。
~【出題ポイント!】~
①脳卒中後遺症に関する出題は最も多い分野である。
②障害の特徴、動作の特徴、援助の方法などについての理解が問われることに留意する。
~脳卒中後遺症の原因と障害~
【原因】
脳卒中は、小血管等の破裂による出血。脳梗塞は、血栓、塞栓によるものです。くも膜下出血は、脳低部動脈破裂によります。
【障害(運動障害)】
中枢神経の障害としての痙性麻痺であり、右片麻痺、左片麻痺が出現します。
・上肢の方が重い場合が多く、粗大な運動から徐々に分離運動へ回復します。
・肩は内旋・内転、肘は屈曲、前腕は回内、手は掌屈、手指は屈曲、膝は伸展となり、足は内反・尖足となります。
~脳卒中後遺症の動作の特徴とリハビリテーション~
【移動動作】
初期には長下肢装具を、膝が安定したら短下肢装具を使用。患側への加重の負担軽減からT字杖を使います。歩行困難の場合は車椅子を。杖歩行では、患側、健側の順で進む。
【応用動作】
上肢の機能の麻痺の程度で、実用手、廃用手、補助手と呼び、利き手側の麻痺には利き手交換をします。
【リハビリテーション】
「急性期リハビリテーション」
二次障害・合併症の予防。機能障害や能力障害に対する早期からの対応。
「回復期リハビリテーション」
社会参加にむけて、機能回復・ADLの自立度の向上を図ります。
「維持期リハビリテーション」
回復期に得た機能の維持、社会参加と生きがいのある生活への支援を行います。
~リハビリテーションと評価法~
「関節可動域テスト(ROMテスト)」=関節の動く範囲を測定する方法。
「徒手筋力テスト(MMT)」=筋力低下の程度を調べる方法。8段階で評価。
「ブロンストームステージ(片麻痺機能)」=中枢神経麻痺による運動パターンの障害評価。
「改訂長谷川式スケール」=認知症のスクリーニングテストでもあり30点満点で、20点以下で認知症ありと評価される。
「ADL評価」
ADL(日常生活動作)=食事、移動、排泄、更衣、入浴などをさします。
~その他の障害の理解とリハビリテーション~
【パーキンソン病】
大脳基底核が変性する病気で中年に多く発症します。症状の特徴として、筋固縮、寡動(かどう)、姿勢反射障害、前傾前屈姿勢、振せんなどがみられます。
【脳性小児麻痺】
「受胎から新生児まで生じた、非進行性の脳病変による運動機能障害」と定義され、痙直型、アテトーゼ型、強剛型、失調型のタイプに分類されます。
【脊髄損傷】
損傷部位は、頸随、胸随、腰随があり、損傷の程度により完全損傷と不全損傷があります。
【変形性股間節症】
股関節の痛み、変形、可動域制限など、関節軟骨の老化や磨耗による進行性疾患。
【慢性関節リュウマチ】
左右対称の多発性関節炎、寛解期と増悪期を繰り返し長期治療が必要です。関節痛、関節の変形・拘縮が特徴の慢性疾患。女性に多くみられます。
【脊髄小脳変性症】
運動失調を主症状とする進行性の神経細胞の変性疾患です。手足の筋肉の不随意運動、下肢の突っ張りによる歩行のふらつき。
【筋ジストロフィー】
筋の変性を起こす疾患。2~3歳の発症が多く、進行性では、体幹の近い腰周囲や肩周囲の筋に比べて、手指の機能低下がゆるやかです。
【内部障害】
「呼吸障害(慢性閉鎖性肺疾患)」・・・原因には、慢性肺気腫、慢性気管支炎、一部の喘息、肺結核後遺症、肺がん後遺症があります。
「腎臓機能障害」・・・糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎などを原因として、血液の濾過などが十分でなく、血液中の老廃物あ排泄されず尿毒症となる。
「心臓機能障害」・・・動悸、胸痛、呼吸困難、失神、静脈うっ血による浮腫などがある。
「直腸・膀胱障害」・・・新たな排泄口として、尿路ストマ、消化管ストマを増設。
「小腸機能障害」・・・小腸からの消化吸収が困難なため、中心静脈栄養法、経腸栄養法を行います。
「ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害」・・・エイズウイルスが原因であり、日和見感染を発症します。